銀河探検鬼 Remix / T.A.K The Rhymehead(1997)

アンダーレイテッドなラッパーT.A.K THE RHYMEHEADの2ndシングル『韻力』収録曲。『銀河探検鬼』というインパクトのあるタイトルと哀愁漂うギターループが特徴的で、現在でもアーティスト達に非常に人気の高い1曲。

古くは1988年頃から3A BROTHERSとしてMC ICHI(現 1LOW)、INOVADERと共に活動していたT.A.K THE RHYMEHEAD(T.A.K THE RHHHYME a.k.a RIMA GREEN)。解散後、ZEEBRAとともにLAZY MONSTERを組むなど、リリース作品は残されていないものの精力的に活動を行っていた。

ZEEBRAのキングギドラ結成後はDJ KEN-BOやUZI、NAOらとともにクルーの一員として活動。キングギドラ活動休止後、そのままZEEBRAを中心としたアーバリアン・ジムの一員となり、ZEEBRA、T.A.K THE RHYMEHEAD、INOVADER、DJ KEN-BOのプロダクションチームTotal Out Put(T.O.P)や、ジム内のラップ功者チームT.O.P RANKAZの一人として重要な役割を担う。

2004年フルアルバムのリリース以降、ラッパーとしての表立った活動は少なくなりRIMA GREEN名義でのMIX CDのリリースや楽曲のプロデュースを行っていたが、近年は新プロジェクトKlassic Beatzとしてアパレルや過去音源のアナログリリース、楽曲制作など継続して活動を行っている。先日YouTubeチャンネルも立ち上げられた。
https://www.youtube.com/channel/UCv9okFaUxfbtuTO4yhGaSiQ


粘っこい声質と発声法、当時の日本語ラップでは珍しくほぼすべてのバースをオフビートで乗せる強い裏ノリのラップスタイルが特徴。内容も抽象的で詩的なものが多く、リリシストとしての評価も高かった。

この銀河探検鬼も “次々捕らえる意識の断片” と歌われているように、特定の強いメッセージがあるのではなく取り留めのない抽象的な内容となっている。当時はこういう具体的なトピックスをもたないラップをフリースタイルものと呼んでいた。またレゲエのラバダブのように、ライブやオープンマイクの場で既存のトラックに即興で持ちネタを乗せることも同じくフリースタイルと呼んだ。T.A.K THE RHYMEHEADは、Mellow YellowのK.I.Nと共に日本語での完全即興ラップを始めた一人としても知られる。現在の「フリースタイル」という言葉から想像される完全即興は「Top of the head」と呼ばれフリースタイルの中の特殊技能の一つとして区別されていた。


曲中では言葉遊びがいくつか仕組まれている。“案ずるより産むが易し きよしこの夜” のラインでは漫才コンビ “横山やすし・西川きよし” の名前が隠れており、”滴る果汁 トリプルX-FILEから出すライム" では韻のRhymeと果実のLimeが掛かっている。

“トリプルX-FILEから出すライム” の部分は、当時流行っていた海外ドラマ『X-FILE』の引用のほか、ZEEBRA&MUMMY-Dのコラボ曲『末期症状』のフック “ファイルからライムをロード” のオマージュにもなっている。

『韻力』ジャケットの印象的なアートワークはBrooklyn Yasの手によるもの。



※リリックは一部耳コピのため正確でない場合があります。


【楽曲情報】銀河探検鬼 Remix / T.A.K The Rhymehead( 韻力 収録)
Lyrics By – T.A.K The Rhymehead
Producer – T.A.K The Rhymehead
Discogs: https://www.discogs.com/TAK-The-Rhymehead-12cm/release/14760802
購入: https://amzn.to/3gjdCDi